リア・ディトンさんが石坂産業に来社。 海の「環境変化」の課題について共有しました。

世界の8周に相当する150,000海里を単独航海してきたプロの女性船長(キャプテン)、リア・ディトンさんが弊社を訪問。石坂代表との対談が実現しました。世界の海から見える「環境の変化」という現実的な課題から、子供たちへのメッセージまで、貴重なお話をいただきました。

石坂代表とリア・ディトンさん~春を感じる三富今昔村の森で

~リア・ディトンさんは、2018年春頃を目標に日本の関東エリアの港から米国サンフランシスコにむけて単独航海にチャレンジする。今回は、その下調べのための来日だったが、自身も執筆や講演活動を行っており、日本に【里山で環境教育を展開している場所】がある、ということに興味を抱き当社に来社、石坂代表と対談をしていただくこととなった。~

 

世界の海を航海中は、海は生きている

と実感します。不思議な体験も沢山しました。

 

石坂 まずは、世界を航海するリアさんの生い立ちや育った環境に興味があります。なぜ、こんな自由奔放な女性になられたのですか?

リア 私は、ロンドンの町中で生まれ、母もイギリス国籍、学校の教師を経て校長先生になった人。そんな厳格な家庭でしたが、祖父母がなんでも新しいものにチャレンジするような人で・・・。戦後、近所で一番初めに自動車、洗濯機、テレビ等、新しいものを購入するような人でした。もしかすると、その血が影響しているのかもしれませんね。

石坂 世界中の海を単独で航海してみたいという気持ちはどこからわいてくるのですか?

リア 大学時代にアジアに旅をしました。インド、タイ、マレーシア・・・。その時に、港から来ている人がいて、ケープタウンやいろいろなところから海を渡って来ている人でした。この人たちからヨットのクルーになることでお金がもらえる、ということを教えてもらったのです。きちんと資格を取得することで、男女関係なく平等に雇ってもらえるので、どんどんのめりこんで、資格取得にチャレンジをしていきました。それを続けていたら今のようになっていました。

石坂 これまでの積み重ねや様々な経験が、今のリアさんをつくっているんですね。

リア 負けん気の強さもあって、どんどんレベルの高い資格にチャレンジして、資格取得をしていきました。資格の有無で給金も違うし、おかれる状況も変わります。50代くらいのベテラン人が多い男社会。そんな中で自分のポジションを築いていくためには、資格を取ることで自信もつけて1人前になることが必要だったのです。

石坂 世界中の海を航海してきた中で、最も印象深い経験はどんなことでしたか?

リア いろんな経験をしてきましたが、1つあげるとするなら、イギリス界隈の海を航海していたとき、イルカが変わった泳ぎ方をしていたことに気付きました。イルカは通常だと、頭から海に入って泳ぎますが、そのときは横向きで、ムリな姿勢で必死に泳いで自分に何かアピールしている、メッセージしている、という感じを受けたんです。「何だろう、おかしいな」と思って改めて海図を見たら、このまま進むと座礁することがわかったのです。そのおかげで、すぐに進行方向を変えることができて助かりました。とても印象深い出来事です。イルカは海の犬のような感覚で、友達のよう。1人で海を旅する自分にとっては大切な友達です。寂しいな、と思って落ち込んでいるときは、そばにきて3時間でも4時間でもずっとそばにいてくれる。そうすると不思議と気分もよくなってくるんです。もう15回も海を渡ってきましたが、以前はイルカがたくさんいたのに、最近ではイルカを見ることもすっかり少なくなってきてしまいました。

三富今昔村で自然と対話をするリアさん

石坂 なぜ、そんなにイルカが少なくなってきたのでしょうか?

リア 海の環境がどんどん変わってきているのが要因だと思います。場所によっては、以前に比べて船の交通量も増えてきているのでイルカがいられる場所がなくなってきているのではないか、と感じています。逆に、フランスで問題視されているのは、ある地域でイルカが圧倒的に増えているということです。海の環境の変化、船の交通量等、様々な要因で、海の生き物たちに影響を与えている、ということがいえるのではないかと思います。

石坂 海を通して環境が見える、というのは素晴らしいことですね。

リア 航海中には、海から魚を食料として調達します。ある時イカを食べようと思って1パイのイカを捕らえたら、もう1パイのイカが私の顔と捕らえられたイカを何度も見ながら下に沈んで行ったのです。イカは、いつもペアで動く生き物なのですが、自分のペアがいなくなったことを感じたのでしょう・・・。魚を食べるたびにそのことを思い出します。こんな経験をしてくると海は生きているんだと実感します。

石坂 イカがペアで動いているなんて初めて知りました。

リア 他にも、魚の群れの動きをみて、自分のボートがどの方向に動いていけばいいかを学ぶ機会が多々あります。魚が角度を変えると、他にも、魚の群れの動きをみて、自分のボートがどの方向に動いていけばいいかを学ぶ機会が多々あります。魚が角度を変えると、そっちに行った方がいいんだな、と学ぶわけです。

石坂 自然界は動物の行動によって環境の変化がわかる、といわれますが、自然の中に放たれると人間は鈍感な生き物なんですね。

リア 海も一緒です。魚によって教えられ、自分がそれをフォローすることによって救われていますし、事故も起きずに済んでいます。海では1人。だから、とても注意深く魚の動きを見ていますね。

 

海上にはプラスチックが散乱!

そのプラスチックを実は、人間も食べているのです。

石坂 五感が磨かれているんですね。石坂産業のスローガンに「自然と美しく生きる」という言葉があるのですが、リアさんはそのまま地でいっている方ですね。お手本みたいな方だと思います。「海の環境の変化」という点で何か象徴的なエピソードはありますか?

リア プラスチックです!波よりもプラスチックが見えるくらい、海上にはプラスチックが散乱しているのです。商業用の漁船からプラスチックゴミがたくさん捨てられている現実があります。プラスチックそのものが存在しているように思われますが、実は細かく見ていくと、魚がプラスチックを食べていて、その魚を人間が食べている、こうした現実を伝えていきたいと考えています。基本的にはみんな何をしなければならないか、はわかっているのです。

でも、なかなかできないでいる。やらなければならないことは、だいたい人間が恐れていること。それをやることによって経済的な影響がでてきたり・・・。でも、その恐れに向かっていくことが必要なんだと思います。

海上のプラスチック問題を知っているリアさんは、弊社のリサイクル工場見学で、ガイドにいろんな質問をしていました。

石坂 私も、プラスチックについて課題視してます。「バイバイプラスチック」※1の取り組みを行いたいと考えていますが、海の「バイバイプラスチック」も取り組みたいですね。これから何をしていきたいと考えていますか?ぜひ、今後の目標を教えてください。

リア みんなを刺激したいです。やろうと思えばなんでもできる。月だって行ける。何でもいいから、自分の夢や「やりたい」と思ったことをやるために、目標をかなえるために、恐れをなくしたり、「できる」ということを伝えていきたいです。講演をすることもありますが、そのスピーチの後、女性が話を聞きに来ることがよくあるのです。「どうすれば、あなたみたいなことができるの?教えて?」と聞いてくるのです。その時に言うことは「最悪のシナリオを考えて想像してみて、その最悪の状態に納得してみて」と話します。そうすれば、それが最悪なケースだから、後は問題ない。「やるだけ、できるよね。」と伝えています。

子供たちには、とんでもない夢を

もってほしい。そのために動きたい。

石坂 海の活動を通して、子どもたちに伝えたいメッセージはどのようなことですか?

リア 昔は、宇宙船のパイロットになりたいとか、誰も登っていない山に登るとか、いろいろな夢を持つ子どもがたくさんいたと思います。でも、今は宇宙にも行けるし、山も征服されてしまった。今の子どもたちが持てる「とんでもない夢ってなんだろう」と考えています。子どもたちが、とんでもない夢を持てるよう、動いていきたいですし、まだまだ大きな夢を持つことってできるんだ、と伝えたいですね。

石坂 具体的に子どもたちに話す機会はあるんですか?

リア 今年の9月に子ども用の教材を作ります。まずは英語で作成し、その後いろいろな言語に翻訳していく予定です。子どもたちは、家庭環境や経済的なことで夢に対する壁をつくってしまうことがありますが、私自身、裕福な家庭に生まれたわけでもありません。それでも、いろんな方がたが助けてくれて、スポンサーがついてくれて、応援してくれる環境ができてきました。単にスポンサーに対して、その活動をしているだけではなく、そこから様々なものを作りだして、みんなにおかえしをしていける、そんな仕組みを作りました。「誰だって夢を持って活動することができる!」と発信し続けていきたいですね。

石坂 ぜひ、弊社のイベントでも子どもたちに話をしてもらえる機会をつくり、そのとき協力をお願いできるとうれしいです。今日は貴重はお話をありがとうございました。

自然を大切にしている想いは、海も森も同じ。くぬぎの森にも積極的に足を運んでくださいました。

 

※1バイバイプラスチック(バック)とは・・バリ島の「グリーンスクール」に通うバリ人の姉妹が始めた運動。美しかったバリの景色がプラスチックゴミに汚染されていく姿に心を痛めた姉妹は多くの人々に「レジ袋廃絶」を訴え、州知事にも直談判を重ねた結果、2018年までにレジ袋をなくす、と知事から宣言を受けた。

◇リア・ディトンさん/プロフィール

Lia Ditton (36歳)

イギリス・ロンドン出身。世界の8周に相当する150,000海里の航海に成功したプロの女性船長(キャプテン)。太平洋を3回、インド洋を2回、大西洋を9回通過し、そのうち3回は単独での航海。フランスで最も権威のある、片手大西洋横断レース「ルートデュ・ラウム」で2位となる。2018年春頃、日本の関東エリアの港を出発し、太平洋を横断して米国カリフォルニアのサンフランシスコまで約5,500海里の航海にチャレンジ予定。